夢の果てに




その頂きは遥か遠くにある。想像を超えた先にある。自
分があそこまで辿り着けるわけがないと思う。あの頂き
に立てるはずがないと思う。「絶対無理だ」と思った瞬
間、「ロマン」という名の一陣の風が身体を吹き抜ける。
それは心の真ん中で美しく響きわたる。何かが変わる。
そして夢見てしまう、自分が紺碧の空を背にあの頂きに
立っている姿を。想像してしまう、世界の向こう側が見
えるあの頂からの風景を。そうして抑えきれない衝動を
抱え込む。それは胸のときめきと言ってもいい。自分を
信じて、全てを懸けて挑もうと決意する。同志と共に。
目の前に立ちはだかる壁は数も大きさも半端じゃない。
極度の寒さも乾燥も、空気の薄さも雪崩の恐怖も、非日
常的な脅威が意志をつまみとろうとする。歯を食いしば
り、必死に耐える。そんな中で奇跡の存在を信じざるを
得ない大自然の優美を目の当たりにする。自分と仲間を
信じる力を再び得て、共にさらなる高みを目指す。文字
通り全身全霊で立ち向かう。そして全てが終わった時、
お互いに手に手を取り合い、微笑み合う、抱きしめ合う。
自分にも相手にも同じあたたかい血が流れている事に気
づき、無性に嬉しくなる。無性に泣きたくなる。そして
最初にそれぞれが持っていた胸のときめきが、やがてそ
れぞれの人生の煌めきに変わる瞬間が訪れる。そこに至
る過程にこそ、まさにその過程にこそ、僕たちは山に登
る意味を見出そうとしているのかもしれない。そして贅
沢を許されるならば、家族や友人、身近な大切な人にだ
けにでもいいから「よく頑張ったね。お疲れ様」最後に
そんな労いの言葉を頂けるものならば、それこそもうそ
れ以上のものはもう何も望まない・・・。
このブログもついに最終回です。
今までたくさんの応援のメッセージ本当に本当にありが
とうございました!
全員が元気に日本に帰ることが皆様へのせめてもの恩返
しであると勝手に考えています。僕自身もっともっと経
験を積んで、精進しなければなりませんが、いつかまた
お会いできれば嬉しく思います。
ご協力下さった全ての方々に心から感謝申し上げます。
そして幸あることを
お祈りしています。
それではさようなら。いつかまた会うその日まで。
加藤慶信
とにもかくにも全員無事帰ってこられて何よりでした!
自分自身もアイランドピークに登らせてもらえてよかっ
たです。
志賀
ご参加のご家族の皆さま、ご関係者各位、友人、知人の
皆様、ご心配おかけしましたが、皆さまの声援で、無事、
エヴェレストガイド登山を終えることができました。本
当にありがとうございました。また、日本のどこかの山
でお会いしましたら、お声をかけてください。
角谷道弘
皆様、今日まで暖かいご声援本当にありがとうございました。
志賀ドクター、加藤を除く本隊6名は本日カトマンズを離れます。
振り返ると、オリンピックイヤーであるため有利と考え実施を試みた本登山隊でしたが、ここまでとは予想もしなかった中国の情勢により、大きな影響を受ける結果となってしまいました。本隊の皆様には出発の間際に南側転進をご了解頂き、何とか登山隊実施に漕ぎ付けたものの、ノースコル隊はアイランドピークに目標を変えざるを得ませんでした。そして支援隊には多くの皆様にお申し込み頂いたにもかかわらず,それに代わる充分な代替案をお示しすることができず、結果催行できなくなってしまいました。皆様にはご迷惑をおかけし心よりお詫び申し上げます。
幸い登山そのものは、アイランドピーク隊は全員が登頂、エベレストも60歳代の2名の方が登頂され一定の成果を挙げることができました。全員無事元気で帰国の途に着く運びとなり今はほっとしているというのが正直なところです。
ところで、他国で登山をさせていただく身としては今回のことは致し方なく、乗りこえるほかなかったのですが、一息ついてつくづく考えることがあります。それは中国聖火隊の主力を担ったであろうチベット人隊員たちはどのような気持ちで頂上を目指したのだろうかということです。88年チョモランマ、91,92年ナムチャバルワ、99年リャンカンカンリ登山で苦労を共にし彼らを知るものとしては、一つの使命を終えて彼らが何を想い、どのような日常を送っているのかが気になって仕方がありません。それに比べ我々は今思えば自由で、いろいろな制約を受けたとはいえ、ご参加の皆様のご協力と、ネパール人スタッフの文字どうり渾身のサポートを受け、ほぼ予定通り登山を行えたことはありがたいことだと思っています。ただチベット人隊員の胸中を勝手に想像するにあたって、自分としては複雑な心境であることも偽ざるところです。
皆様のコメントでは私たちが出発したときから一つ季節が進み日本は梅雨間近との事ですね。こちらネパールもモンスーンが近づいてきているようです。何かと体調を崩しやすい季節でもあります。どうか皆様お元気でそれぞれの山登りに気をつけて向かわれますよう願っております。またどこかでお会いできますように。
あまりにとりとめのない文章になりましたが、本登山隊のブログはこれでおしまいです。改めて本当にありがとうございました。
山本篤






















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